2012年11月04日

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「あ、雨。」


それは、悲しみの雨でもなく。
それは、恵みの雨というわけでもなく。

夕方に少女が水を撒きに来る、という習慣。



ココは人間で言う所の「コウエン」の
「カダン」の中にある「ハチウエ」。

その中にある「オハナ」だそうだ。

自分の事は、何も知らない。
人間は聞きなれない言葉で
私を指さしたりするが、総じて「オハナ」。

私は「オハナ」なんだという。


私は「コウエン」の「カダン」の中にある
「ハチウエ」の中にいる「オハナ」。

その事に一喜一憂しないのは、気にしないし
興味すらないのだ。
「自分の事なんて、誰も教えてくれないから知らない」


私は「オハナ」という事には自信に似た
誇りのような想いだけは持っていた。


「あー!暑い!」

「オハナ」である私は、基本的に元気なので
ギラギラ光ってる「タイヨウ」ってヤツが上にいる時は
一日中、そいつを睨んで立っている。


「足、超パンパンなんですけどぉ〜!」
そういえば、昨日もそう言って
「ハチウエ」のヘリに腰をかけた。

そういえば、というより毎日そうだ。
明日もきっとそうだと思う。
地面が乾いているとそうなる。
2、3日の経験でわかる。

「ソラ」の色が向かいの「カダン」に咲く
マリーゴールドみたいな色になると
私に水をかけに女の子がやってくる。


昨日もそうだし、きっと明日もそうだ。
この子が来るまで、腰をかけているのが
最近の過ごし方だ。


「また干からびてる!」
女の子がやって来たようだ。
しかし失礼な話だ。私は干からびてなんかいないのに。

「水をかけておやり。…花壇はこっちだよ?」
いつもは一人の女の子だけど、今日はもうヒトリいる。

「おばあちゃん!アタシ、このお花がスキなの!」
いつもは一人の女の子だけど、今日は「オバアチャン」といる。

「あら!ニチニチソウじゃないかしら?
 一本だけなのも淋しいわね。」

「ニチニチソウ?」女の子がオバアチャンを見る。
私も見上げる。何だか昨日より体が動かない。

「枯れかかってるわね。でもまたすぐ咲くのよ。」

「枯れても?大丈夫なの?」

「別の花が咲くのよ。
 次から次へと咲くの。だから日日草(ニチニチソウ)
 でも花びらが6枚なのは珍しいじゃない?」

「6歳なんじゃない?アタシと一緒の6歳」

「そうねぇ。でも、ノゾミちゃん、明日には7歳でしょ?」

「ニッチは?もうお水じゃダメ?
 明日また咲くって言っても、この子じゃないんでしょ?」



「ワタシ」はニチニチソウ。
次から次に咲落ちるニチニチソウ。
彼女の名前は「ノゾミちゃん」。
彼女が呼ぶワタシは「ニッチ」。


この気だるさは、終わりゆく肉体の限界。



「アタシはこのお花がスキなのに!」
急に泣き出すノゾミちゃん。
思いっきりジョロから水を撒いた。

「早く元気になって!ニッチ!
 アタシはずっと友達だよ!」







「あ、雨。」


それは、悲しみの雨でもなく。
それは、恵みの雨というわけでもなく。

夕方に少女が水を撒きに来ている。


昨日の事は覚えていない。
その事に一喜一憂しないのは、気にしないし
興味すらないのだ。
「自分の事なんて、誰も教えてくれないから知らない」



「ニッチ!ココがアタシのおウチだよ!」



posted by ツカサ at 00:59| Comment(0) | 作品について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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